アレンジ 手法... 歴史、手順、総則、サンプル

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私のアレンジに“特別な秘密”があるか...? てらいなく答えられましょうか - "秘密は無し でも、テクニックとルールなら 幾ばくか"。 実際、それぞれの編曲作品の中に脈々と通じる道筋(ガイドライン)があるとすれば、それはある種の "ビジョン" を心の中に思い描いて取り掛かっているからだろう、と思います。しかしテクニック面を含め、そういう「何やかんや」も、ラグタイムギターの歴史を作ってきた "偉大な先達" に負っているところが大きい訳でもあり、逆にそう考えるならば、自分の試みも一種の“歴史的なストリーム”の一端に組み込まれるのかなぁ?とも感じます - 大げさに言えば! ということで、この章では編曲にまつわる「インサイド・ストーリー」を中心に綴ってみます... 次世代のラグタイマーへ向けて。

歴史... このユニークな挑戦が、どのように始まったのか?

先達に学ぶ... 彼らが「可能に」した!

"自分史" のページにも書いたように、私の "ラグタイム・ギター歴" は偉大な先達のアレンジを(楽しんで)弾く、というところからスタートしています; 何人か、例をあげてみますと...
 *なお、今日では幸いにも YouTube でサンプルを見ることができます! Stefan Grossman's Guitar Workshop

Stefan on YouTube

  • Duck Baker - "Maple Leaf Rag"
  • Jim Mclennan - "The Entertainer"
  • Lasse Johansson - "Favorite"
  • Ton Engels - "Weeping Willow"
  • David Laibman - "Graceful Ghost"
  • Ton Van Bergeyk - "Pineapple Rag" "Silver Swan" etc.

今も輝くこれらの編曲を弾き続けるにつれ、私自身の中に別の興味が湧いてきました - 「元のピアノ譜は、どうなっているんだろう?」
ということで、ジョプリン Scott Joplin のピアノ曲集を探して購入 - 普通の楽器屋で日本語のものを... 海外の全集をネットで買ったりするのは“ハマッて”からです - アレンジ楽譜と比較するようになり... 思えばこの時から「深いラグタイムの森」への 終わりなき探索 が始まったのですが...!

“比較”というこのシンプルな行為が、私のラグタイム人生(?)に新たなステップをもたらすことになりました; まず始めてみたのが(自称) "再編曲 re-arranged" - すなわち「他の人の編曲の一部を自分のテイストに従って変更する」という取り組みで、主には「プレイヤー的な視点」から、オリジナル楽譜と演奏し易さの双方のバランスに配慮して変更を加えていました。上記に例示した曲も大半に手を加えてみましたが、その多くはどちらかというと「開放弦の活用」「ポジション変更」「音を減らして簡素化」等で、この時点でのピアノ原曲はあくまで「一応、確認するため」程度の“参考資料”的な意味合いに留まっていました... しかし今にして思えば、この活動に“はまる”ことが「泥沼でもがく」ように更なる 深みへのいざない となった感があります...(苦笑)

ピアノ演奏のように... もし可能だったら?

ある日、著名な『メープル・リーフ』のピアノ楽譜を眺めていたときに - ダック・ベイカーの演奏と異なる印象を持ち、かつドラスティックな冒頭のオクターブ展開をもつこの“歴史的な曲”に特別な魅力を感じつつ - 偶然、あるアイディアがひらめきました; 「原曲のキーはAフラットだけれど、ドロップGチューニングの1フレットに“カポ”をつければ(実音が半音あがるから)“発音上は”同じキーで弾けることになるな... 」 今にして思えば、これが "ターニング・ポイント" となったのですが、その年 - 1999年は、「ラグタイム時代」の幕開けを飾ったこの曲の最初の出版年 1899年 から奇しくも100年目のことでもありました。

そこで次に、ギター演奏を意識しつつ注意深くピアノ譜を検証してみると、この曲の“最大の難関”として一般には不可能とも思われていた(?)件の印象的なオクターブ展開が「フレット位置的には通常のギターでも再現が可能」ということに気づきました。(※この“やっちまえ”的な可能性認識は、山下和仁氏の『展覧会の絵』の影響があるかも... もちろん、そっちは弾けないですけど!)
この発見が自分の編曲(指針)にもたらしたものは大きく、結果的には 原曲と同じキーで、ピアノ楽譜を参照し、翻訳するように編曲する という“自分自身で、進化したアレンジを確立していく発想と進路”が、この瞬間に開けたように思えます。

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手順... 始まり から 終わり へのステージ

実際のアレンジにおける手順・過程には、いくつかの「ステージ」があるように思えます。

  1. 全体の検証 & 手書き編曲 : アレンジの可能性を検証した後に、手書きでタブ譜に編曲を書き写す
  2. タブ譜ソフトへデータを投入 : 愛用しているソフト "TablEdit" にタブ譜のデータを入力
  3. 演奏する立場から検証 : プリントしたタブ譜で実際に演奏し、改善を検討
  4. 最終チェック & 浄書確認 : 仕上げに向けた調整; でも、いつかは「見直し」されます

これらの手順・段階に関して、より詳細なレベルで知りたい方は以下のリンクから...

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総則... ラグタイム・ギター編曲における個人的なアプローチ手法

はじめに... “改訂:見直し作業” に見える“典型”

先に書いた『メープル・リーフ』の編曲から、すでに10年以上が経過しました; 加えてギター自体は35年以上やっていますので、正直ここ数年はこの“作業”自体にもいくぶん「疲れた感じ」を覚えていました... しかしながら “YouTube” という新世界へ踏み込むことで、かって浸かっていた「ラグタイム編曲の世界」に “改訂”という新局面 から立ち戻ることとなりました; 今は、音楽に対する別視点からの興味を含むリフレッシュ感 - “復縁した情熱” とも言う感覚に捕らわれているのかもしれません?!

その YouTube への投稿に際して、自信作&出世作(?)の『メープル・リーフ』を実に10年(以上)ぶりに見直してみた訳ですが - もう少し弾きやすくならないかな?という想いが正直ありました -、結果的には「アレンジのコンセプト、あるいはガイドライン」とでも言うべきものを自覚することにあいなりました... あるいは、より明確なスタイルを打ち出してみた、と言えるのかもしれませんが - よりシンプルに表現するならば "より簡単かつ的確に" ;例えば、もし誰かが注意深く私の編曲を一音一音辿ったとしたら、何かしらのコンセプトや明確な意図が感じられる - そういった何かを、よりクリアに打ち出してみたい、ということなのかもしれません。

このコラムでは、その底流基盤を "総則とガイドライン General and Guidelines" と位置づけ、事例楽譜を用いて紹介してみます。弾くという行為とはまた違った側面から私のアレンジを楽しんで頂ければ幸いです... もし貴方が、この「気難しいワンダーランド」へ足を踏み入れたいと希望すれば、ですが... ;-)

ガイドライン... 強制でなく、助けとして

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いくつかの条項(?)を示します。詳しくは以下のリンクでご覧ください。

  • 演奏キー : 編曲に際してのキー設定について
  • 主要なベース音 : ピアノ左手が担当するベース音の取り扱い方
  • 音を減らす : 同じく左手の伴奏和音から、どのように音を減らすか
  • ハーモニクスの使用 : ハーモニクス技術の活用法について

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サンプル... "エンターテイナー 初心者版" ;ご自由にダウンロードください!

実のところ、この編曲は上記のガイドラインから逸脱しています... しかしながら、私の編曲手法の特徴を示すと同時に、他の価値 - すなわち "弾きやすさ" を(代わりに)提供しています。 (※あくまで、その他の編曲と比べて、ですが)

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  • 左のイメージをクリックすれば、PDFのタブ譜を見ることができます
  • 必要に応じて保存したら、ブラウザの「戻る」ボタンでこのページにお戻りください
  • MIDI音源は こちら ;練習のガイドに、あるいは仕事のBGMに?!
  • ご自身の個人的な演奏活動にのみご利用を頂けます (※著作権フリーではありません)
  • もし友達にもお渡ししたいと思われましたら、このサイト(URL)をご紹介頂ければ幸いです... ;-)

簡単だな、と感じましたら、難しくもより原曲に近い編曲をご用意しています; "タブ譜 在りマス" のページで "タブ譜リスト"をご確認ください。
※このページトップの註にあるバナー(Get FREE Tabs)でも確認頂ける様になりました。

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► 注記

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